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飲みたくてもなかなか手に入らない?十四代龍泉とはどんな日本酒?
幻の十四代を生み出した高木酒造
日本で最もおいしい日本酒と言われ、みんなが知っているのになかなか飲めない「十四代」。十四代の中でも、最高峰の「龍泉」は、なかなかお目にかかれないプレミアム状態となっています。そんな十四代を生み出したのが山形県にある高木酒造です。
雪国の村山市にある高木酒造
高木酒造がある山形県村山市は、山形県のほぼ真ん中に位置し、冬は雪に閉ざされる雪国にあります。美味しいお酒の元であるお米処でもあり、最上川の清流にもほど近く、美味しいお酒をつくる地理的条件に恵まれています。雪のおかげでもろみの発酵がうまくいくという面もあり、雪国であることも、お酒造りにプラスに働くようです。
2015年に400周年を迎えた高木酒造
実は、高木酒造の始まりは元和元年(1615年)に遡ります。高木家の祖先は京都のお公家さんで、応仁の乱に負けてしまったために山形に逃れ、名前を変えて村山の地に住みついたのだとか。酒蔵のある高木酒造の敷地は現在でも3500坪あり、戦前には森林や高木山と呼ばれた山林、田畑も所有していた豪族でした。
高木酒造は、米処山形のお酒を使っています。「黒縄」という銘柄のお酒が高木酒造にはありますが、これは、高品質のお米が入っている俵に黒縄をかけて目立つようにしていたという山形の習慣にちなんでいます。地元産の材料を使って、4世紀にわたって日本酒をつくり続けている酒造メーカーです。
十四代という名前は偶然の産物
地元の発展のために、県会議員として尽力しているのが、高木酒造の14代目の当主である高木辰五郎氏です。地方の生活は過酷で少し前までは道や橋がない集落もあったとか。酒造会社の社長として働きながら、地元の発展のために働く辰五郎氏が、何百年にもわたってつくり続けてきた古酒に使うために、「十三代」、「十四代」、「十五代」、「十六代」という名称で特許申請したものの数字では特許が採れないという規定があることが判明しました。でもなぜか、「十四代」だけ特許がとれたのだそうです。じゅうよんだいではなく、とよしろ、とか、としよ、といった名前だと勘違いされたのかもしれません。十四代という銘柄は、こうしたハプニングで生まれたのでした。
十四代の生みの親は15代目
十四代という名は、15代目で十四代という銘柄を生み出した高木顕統氏にとって、インパクトがあり人の心に残る響きがある感じで、勝負をかけるブランド名にふさわしいものだったそうです。
東京農大醸造学科で学んだ杜氏
顕統氏は、東京農業大学醸造学科で学び、流通企業を経て、1993年に高木酒造に戻りました。25歳で専務取締役兼杜氏に就任、十四代ブランドをつくり始めました。大学で学んだ新しい技術を取り入れつつ、伝統的な製法を守る製法で、日本一美味しいお酒をつくられています。例えば、酒母を混ぜる作業は人の手で行うことで酒母が育つので、タンクの中に身を乗り入れて、体力を使って混ぜなくてはなりませんが、温度の調節は、一瞬で温度変化が可能な最新の冷却器を入れて行う、といった形で必要を見極めながら、それぞれの段階をしっかり管理していきます。人にしかできない部分は、寝ずの番をしながらつくる一方で、機会を入れて変えていけるところには細心のものを取り入れる、常にチャレンジを続けています。
初めて杜氏として日本酒の醸造を行った年には、救急車で運ばれることになったという顕統氏、命をかけて、酒造りを行われています。
十四代の人気の秘密は「芳醇甘口」
十四代が生まれた2006年ころは、きりっとした辛口のお酒、いわゆる「淡麗辛口」が人気でした。十四代は、その逆で、お米の甘みと旨味がしっかり感じられる「芳醇旨口」のお酒です。甘口だけど、飲んだ後に甘ったるさが残ることなく、すっきりした飲み心地としっかりした濃厚なおいしさを同時に味わえるのが魅力です。
幻の名酒「十四代純米大吟醸龍泉」
龍泉は、十四代ブランドの最高峰です。使われているお米は、「龍の落とし子」。山形のお米山田錦と金紋錦を掛け合わせた山酒4号と美山錦を18年かけて交配、育種して日本酒のために開発された酒米です。高木酒造さんは、原料となるお米の開発も行われています。
龍泉には、バニラに似た華やかな香りがあり、とるけるような甘みが感じられるお酒です。上品な甘みで、口に含んだ瞬間、しっかりとした甘みと旨味が感じられるのに、甘みの引きが良く、いくらでも飲める感じがします。
日本酒の十四代龍泉のまとめ
十四代龍泉は、発売当初は赤いデキャンタで売られていました。色も形も美しく、さらに希少性を高めていたと思います。幻の名酒と言われなかなか手に入らない「龍泉」以外にも、純米吟醸の「十四代龍の落とし子」や純米大吟醸の「十四代龍月」などもリリースされています。見つけられたら、ぜひ味わってみたいですね。
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